« マルチ商法のクーリングオフは手強い? | 不当解雇の和解 »

動産質権設定金銭貸借契約書

金銭貸借の担保として、もっとも簡便な手続となるのは動産への質権設定かと思います。
担保として土地や建物などの不動産を設定するには、法務局への登記が必要であり、連帯保証人を付けるには相当な気苦労が必要です。これは手続として重いものであり、契約書作成までには時間がかかるのも仕方ありません。

一方、借主が宝石や絵画など換金性の高い動産を所有している場合は、それを貸主に質入して、返済が滞った場合は質物を換金処分するように契約を結ぶことができます。借主と貸主の当事者だけで決められることですから手続は即時にできます。
借主も質物には思い入れがあるわけですから、金銭の返済も通常よりは確実に果たされることが期待できます。

ただ、質物を無断で処分するのは不法ですから、どういう条件のときに換金処分をするかを事前に明確にしておく必要があります。
質物の保護という面でも、貸主の換金処分の正当性確保という面でも、このような契約には契約書を準備しておく必要があります。
具体的には、動産質権設定金銭貸借契約書を作成し、金銭貸借の事実確認や返済条件、質物の特定や質権設定など諸条件を明確にしておきます。

また、借主の親族や知人が質物を提供するようなケースは、貸主と借主の間で金銭消費貸借契約書を作成し、貸主と質物提供者の間で動産質権設定契約書を作成して対応します。

但し、動産であっても自動車や船舶、建設機械の一部のように、法律で登録や登記が義務付けられているものがあり、注意が必要です。このような動産は、契約書の他にも登録や登記をしなければ担保としての実効性は期待できません。

投稿者 : 2006年11月22日 18:16 [ 管理人編集 ]